命をかけて
2253ー7ー4
22:40 第5異星人、討伐艦隊。
出撃した時にはすでに、夜明けの船は敵艦隊に完全に包囲されている。やっぱこれは、待ち伏せに突っ込んじゃったということか。夜明けの船いきなり被弾で、撤退、帰還命令が出る。ところが。
増援出現。日本月、攻撃艦隊。
戦闘区域のど真ん中に増援が現れるっていうのは、隠れてたとか、まんまとはめられたとか、そういうこと? 確かにクリュセは中道の都市船ではあるが、せっかく無敵艦隊から助けてあげたのに、情報漏れてるのか。しかも配置も数も、なかなかに厳しそうだ。これ、は。無敵艦隊よりやばいかも。だって、撤退が苦手なのよ。攻めるより引くのが難しいのは世間の常識であろうが、せ、性格的にとても苦手なのよ。そもそも着艦が苦手だしね! 脳みそ沸騰して気分がハイになってる時の方が、図形認識の能力が高いのは気のせいか。
ヤガミ、タキガワ機はいったんシールドダッシュで敵から離れた後、シールドダイブで大回りに夜明けの船に接近している。イイコ機も同じく大回りで移動中、でも肝心の夜明けの船が魚雷に取り囲まれてたら、着艦がやばいよね。はるかが魚雷を片付けようと接近すると、夜明けの船は潜航し、敵艦隊からの距離を確保する。うん、思えば、この辺りで、判断が甘かったんだな。
希望号は代わりに魚雷群に包囲された形になる。被弾は免れたが、いつまで逃げ切れるか分からない。増速方向に逃れて魚雷を叩き落としていた、その時。
夜明けの船が一気に混戦を駆け抜けて行く。あっという間に旋回方向へ逃れると、間髪入れずにヤガミ、タキガワの編隊飛行が追随する。しかも気が付くといつの間にか、イイコ機も浮上方向から合流しようとしているのだ。ちょっと待って、君達、いいコンビネーションじゃないの。希望号には無い通信手段か何かあるのか? 追いかけようとするが、魚雷群真っ只中にいる身としては、背後から山ほど喰らって撃沈というのも勘弁して欲しい。魚雷を間引きしつつ移動する間に、夜明けの船との間隔が開いてゆく。
だ、だめ、かな? などと思いながら、それでも全速で離脱を試みようとして、やっと緑色のトポロジー表示に気が付く。僚機の表示である。へ? ヤ、ヤガミ? どうしてヤガミ機がここにいるの? だってさっきまでタキガワと編隊組んでて、一緒にレーダー範囲から離脱してったよね? 実際タキガワ機は既に戦闘区域の端まで移動してしまっている。え、も、もしかして。戻って来たの!?
実はこの現象は初めてじゃないのです。あれはまだ、はるかが戦闘のたびに独りで狂ったように暴れていたころのこと。撤退命令はイコール夜明けの船が離脱までのタイムトライアル、と解釈してきりきり踊ってると、残り一機になった時にひょっこりヤガミ機が戻って来たのでした。あの時は直ぐに戦闘終了で無事帰還出来たので、こちらの旗色が良いので戦線に復帰したんだと思ってたんですが。
今回はそうはいかない。既に全速力で逃げても、夜明けの船に追いつけるかどうか。ここで、はるかが戦域に留まったら、ヤガミ機はどういう行動を取るのだろうか。……えい、潜航してしまえ。敵小型艦に剣鈴を叩きつけ、撃沈する。これでもう帰還は不可能ね。
そして。ヤガミ機は停止している。
あ、分かったから。もういいから。お願いですから帰還して下さい。わたくしが悪うございました。物の弾みの巻き添えで死なせたら、幾らなんでも後味が悪過ぎ。いや、ヤガミは着艦が巧いので、まだ間に合うのかもしれないが。それとも夜明けの船が戦域を離脱するより前に、敵艦全てを落とせるのだろうか。でも機動がマイナスなのよー。やけになってインメルマン旋回をかけてみる。ヤガミ機はレーダー域から外れ、そして旋回したようである。敵艦は魚雷を撃つでもなく、ひらりひらりと逃げ回っている。あんたたち、希望号を仕留めたなんて、太陽系総軍の英雄になれるよ! まずタキガワ機着艦のアナウンス。タッキーいっつも一目散だね。続いてイイコ機。そして夜明けの船、戦域を離脱。 GameOver。ヤガミ機の帰還、確認できず。
教訓
撤退も、た、楽しいかも。果たして三度目はあるのか? 何かまた妙なものにはまってしまったような…。
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