« 見沼の笛 | トップページ | ハコの日 »

2010年8月 2日 (月)

砂漠の男

 

最初は、自分の国を
 
次には、自分の大陸を
 
そして最後には
 
ただひとつの星を

 

あの砂漠の国で
 
自警団を組織して
 
街の見回りをしているという男を見た
 
年齢は
 
私とそう変わらない
 
彼には
 
自慢の息子がいて
 
その息子は
 
同じように自警団のパトロールをしていて
 
顔が分からなくなるぐらいに
 
悲惨な状態で
 
殴り殺されたのだという

 

自慢の息子だった
 
だから自分が
 
彼の代わりに見回りをするのだと
 
息子と同じ年頃の若者達が
 
道端にたむろするのに話しかけながら
 
口数の少ない髭の男は
 
静かに光る眼をして
 
砂にまみれた街を歩いていた
 
パトロールをしていて
 
息子を殺した犯人を見付けたら
 
どうするのかという問いに
 
復讐に意味は無いと
 
この国が変わらなければ
 
何の意味も無いんだと
 
彼は答えた

 

それは映像の作り物かもしれない
 
でも
 
何年も何年も
 
遠い異国で痩せた土地を耕して働いて
 
罪無く殺されるような人が
 
本当にいる
 
許すとか寛容とか
 
そんな美しいものじゃない
 
それでも
 
生きてゆくために
 
憎しみではない何かを
 
掴み取ろうとするのなら

 

それでもこれは
 
ほめうたである
 
そのためにこそ
 
呪われた謡うたいは
 
荒野を歩むだろう

 

|

« 見沼の笛 | トップページ | ハコの日 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/143486/49039074

この記事へのトラックバック一覧です: 砂漠の男:

« 見沼の笛 | トップページ | ハコの日 »