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2013年3月10日 (日)

物語というシステムを構成する部品としての「キャラクター」を造るために、色んな属性設定を組み込むというのは、もちろん当たり前のことだ。性別、年齢、特徴、その置かれた背景、そういう物がどうシステム全体との関連性を持つのかという、ポジション配置。服装とかのビジュアルもそうだし、アニメならヴォイス選択も、大きな要素だろう。

でもそうやって色んな要素を合成したキメイラで終わるのなら、やっぱり道具であり、人形でしかない。その存在が、生きて、自分の感情や意志を持って、独立して立ち上がる、その中身と与えられた要件がきちんと連結していなかったら、そのキャラは自走しない。燃料の入ってないエンジンみたいなものだ。無理矢理ガソリン入れて点火したところで、構築がきちんとしていなかったら、爆発して壊れるだけだのことだよね。生物の設計図がDNAだとして、これは頭でこれは腕、みたいに適当に遺伝子切り貼りして寄せ集めたら、それは正しく生命として誕生するのかどうか、そういうレベルの問題だ。

だから、鬼魂号は、自走しない。そういうことなんじゃないの。

逆に、与えられた要件がきちんと有機的に連結し、ひとつの命として立ち上がるのなら、そのキャラクターは物語世界全体を動かしていくことになるだろう。エンジンとして、正しく機能する。機関の性能によって、動かせる世界の大きさも変わってくる。小さい物語でいいのなら、キャラ構築もある程度いい加減でいいだろう。ギャグキャラ的なデフォルメのキャラクターで動かすことが出来るのは、ギャグ次元の世界でしかない。別に、ギャグ世界を否定するつもりは、全然無いけども。そういう構築の甘いキャラに、巨大な世界を廻させようとしたら、その世界全体がギャグに汚染されていくしかなくなってしまう。つまりは、ファンタジーだ。

だからって、細かく精密に設定を描き込んだら、キャラが立つかというと、そうでもないんだよね。3D的なリアルを追求したCGで、必ずしもキャラクターが自走してるかというと、違うような気がする。マンガ的なデフォルメのビジュアルだって、キャラの密度がきちんと立ってれば、その世界全体の空気を構築して逆の意味での現実感を構築することが出来る。だから、キャラの密度がとても濃い状態で、ギャグ世界を描くと、独特の空気を描き出すことが出来るんじゃないかと。みのりちゃんがそうであるように、人魚の怖さや、よつばちゃんのパワーが問答無用であるように。

詰まるところ、キャラクターというのは、その原義のとおり、人格の雛型そのものであるような気がする。論理のシミュレーションが物語であるように、感情や自発的衝動、そういうものの疑似体験装置がキャラクターだ。キャラクターに共鳴することで、自分の魂を磨いていく、そういうお稽古そのものでもある。人の心が分かるって、そんな簡単なことじゃない。だけど、先天的な素養に大きく左右されるとしたって、別に訓練出来ないということでもないよ。空気が読めないということは、先天的な感覚や生育環境によるとしても、やっぱり、訓練不足でしかない、だから、ギミックとしてしか、物語のキャラも、自分の生きている周囲の人々も認識出来ない、おたくと呼ばれる人々が増えていくんじゃないのか。普段の自分と違う立場や役割を与えられた時に、自分がどんな風に「感じる」のか、そういう訓練装置であった筈のRPGが、自分の好みだったり得意だったりのギミックを選びさえすればいい、それだけの使い方しかされていないようにね。ギミックの使い方が上手すぎて、感じるまでもなくゲームとして攻略出来てしまうケースも、同じことだ。

で、だ。主人公という要素を合成された彼らは、現状あまりにもファンタジーであり過ぎる。エノラ&タキガワと同じ舞台に乗せると、必ず喧嘩になって収拾が付かない。ま、世界観が鬩ぎ合ってるんだから、当たり前なんだけれども。イイコちゃんはまだ、語られている要素から再構築出来るし、ドラマCDのヴォイスが出色の出来だったからな。しかし、マイトリは。別に彼に限ったことではなく、男子の主人公って、キャラの自立性として成立に成功しているケースって、ヒロインよりもずっと少ない気がするんだけどね。私の趣味の偏りによるものかどうかは検証してないが。傾向として、女性が構築する少年や青年の主人公は、大きく成功するね。

しかもだ、慈悲を組み込む…無謀な。そう、マイトリであれば、まだ何とか。イイコちゃんが眼鏡を取るシーンは、別に、実は美人でしたとかいう小手先の話しでは無く、彼らが旅して来た物語の経験値が、今まで見えなかったものを見えるように成長させた結果に起こることじゃなくてはならないと思う。繭を、卵を割って、新しい人物が生まれ出でる瞬間だ。でも、彼がそういう成長をしたというストーリーラインは、裏話でしか語られてない。絢爛の台詞から逆算するには、あまりにもちぐはぐで、如何にも合成の人物像しか再構成出来ない。私は基本的に、キャラクターの原型を脳内に役者としてストックしていて、その人物が演じる形でストーリーラインを一緒に構築する。タッキーの原型が、近かったのかもしれないけども。役者からスカウトするか、というかこの場合は条件厳し過ぎて、リクルートというか、オーディション状態だな。

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