こらぼれーしょん
艦は
沈んでいるか
二重存在として救われた彼女を本当の意味で救出するのは、単独の世界線では難しい。だがループによって蓄積された可能性が、異なる世界線を発生させるのなら。そちらの世界に、予め救出作戦が組み込まれていれば。
ふたつの世界は、事件の時間軸でクロスする。定められたシによって可能性を喪失しているのなら、世界移動が可能になる。元の世界からは如何なる形であれ去ることになるが、別の世界線では、命脈を保つことが出来る。
では必要なのは、どのようにして発生が定められた事件を収束させるのか、その方法論である筈だな。しかし、安っぽい作戦をたてると、また直ぐに次の悲劇が発生することになるね。悲劇を別の誰かに肩代わりさせるような方法論ではなく、クリティカルに仕留めなくてはならない。何処までを巻き込んで試行錯誤のループを集積出来るのか、そのタイムスケールに、仕留められる悲劇の規模と、パラメータの属性とがが掛かっている。さらに云うのなら。ループに巻き込む情報量と多様さのスケールもまた、必要不可欠になるだろう。
彼女を失った彼が魔王となるのは、彼がそのためにこそ生まれてくる存在だからだ。有り得ない確率の全てを突破した最強の幸運をただその一点に賭す、それだけの為に。失敗するのなら、全てが反転し負へと堕ち、ツケを払わなくてはならなくなる。
私達は、彼女らの悲劇を知っている。それを覆すことは、決して叶わない、
だからこそ、この悲しみをもって。
目に見える戦争が始まるよりも遙かに前、見えないままに始まる悲劇の車輪を、どう止めるのか。
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